取材・調査等を希望される方へ【ご一読ください】

九大セクマイサークルarcusに関心をお寄せいただき,誠にありがとうございます。

学術研究の進展や一般社会に向けた啓発等を図るため,精力的に取り組まれていることに深く感謝・敬意を申し上げます。しかしながら,以下の理由により,例外を除いて基本的には取材・調査等をお断りさせていただいております。また,大変恐縮ながら,取材・調査等のご依頼に対するお返事についても,差し控えさせていただくことがあります。一方で,ご協力させていただくご依頼については,10日以内をめどにお返事を差し上げます。

 

【1】当会の目的と体制

 当会は,当事者の居場所づくり・交流を主目的として,ジェンダー・セクシュアリティ関連の教養を深める活動などもあわせて実施しています。そのため,啓発などの対外的な活動はほとんどしておりません。加えて,メンバーが少人数であり,渉外などの体制も整っていません。

 

【2】 マイノリティとして繰り返し取材・調査されることに伴う重い精神的負担

 特定のジェンダー・セクシュアリティのあり方が規範化されがちな日常社会において,それ以外の性のあり方は抑圧・差別の対象になっているのが現状です。このような中で,マイノリティとして経験やアイデンティティを問われることは,こうした権力構造に身をさらされることであり,かなりの精神的負担がかかります。
 加えて,当会は1件のみならず幾度となくそのような依頼を受けています。繰り返し同様の取材・調査を受けることにより,自己の当事者性の側面だけが強調・増幅されるという事態に陥る恐れがあります。



 これまでに当会が経験した,結果的に過度な精神的な負担を有した取材・調査等の事例について以下に記します。

 

(1)これまでの個人的な経歴や学校などでの経験談に関して話を聴きたい

 1件お話するたびに相当な負担がかかります。こちらは繰り返し何度も答える必要があり,そのたびに心身ともに疲弊します。

 

(2) 当事者を対象として(またはセクシュアリティに関連して)心情などの程度を数値で回答させる心理学の質問紙調査をしたい

 研究手法として確立されているのは理解しますが,セクシュアリティに関係のない他のテーマの研究による質問紙調査を回答するときに比べると,回答の際の煩雑さのみならず,どのように当事者性が分析されるのかといった精神的負担は比較にならないほど大きいと感じます。

 

(3) 何も知らないが社会的課題の解決に向けたテーマの1つとして話を聴きたい 

 ジェンダー・セクシュアリティに初めて関心をお寄せいただいたことには感謝しますが,その手始めとして当事者から話を聴くという手段に易々とご協力させていただけるほど,当会は虫の良い慈善・啓発団体ではありません。まずは図書・文献により知見を深められてください。

 

おすすめ書籍
アシュリー・マーデル(2017)『13歳から知っておきたいLGBT+』ダイヤモンド社
加藤秀一(2017)『はじめてのジェンダー論』有斐閣
中村美亜(2008)『クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす』インパクト出版会
森山至貴(2017)『LGBTを読み解く─クィア・スタディーズ入門』筑摩書房



(4) 対価の支払い手続き

 調査を引き受けたところ,ごくわずかな対価(謝礼)に対して氏名の記入と押印を要する謝礼受領書の記入を求められる事例がありました。研究費の不正利用防止等の観点による規則によるものとは重々承知していますが,当事者性を明示した状態で氏名の記入と押印をすることには,多大なる精神的負担を伴います。

 

 

 当事者性を明示することに関して,何をもって精神的負担と感じるのかは,当事者でも個人個人で異なりますが,当会にとって対外的な取材・調査等へのご協力は,大きな負担を伴うものであることをご理解ください。

 

 

そのうえで,重要度・緊急度の高いもので,当会が必要と判断したものについてはご協力させていただきます。

以上をご理解いただいた上でお問い合わせいただきますと幸いです。contactページへ→

 

 

2020年8月 九大セクマイサークルarcus